湯ぶねに落ちた猫
(吉行 理恵)
最初は表紙の猫の絵に惹かれて手に取った。
どこかひょうひょうとして可愛らしい、雨傘をさした猫に
ひとめぼれしてしまった。
中味は猫や家族にまつわる日常のエッセイ
そして短編小説が二編。
エッセイは作者の正直な気持ちが
シンプルで詩的な言葉で綴られている。
まるで砂漠に湧き出す泉のように
混じり気のない透明な印象を受けた。
人と関わることが苦手(というかしない)ところや
胃が弱いところに個人的に親近感が湧いてしまった。
小説はおそらく作者の日常生活に近いものを
描いているのだろうが、それだけではなく
読んでいるとまるで夢の中にいるような不思議な感覚があった。
この作者の世界はどうしても触れない幻のような雰囲気があると思う。
それなのになぜかとても強く魅入られてしまって
読み終わったあともしばらく余韻に浸ってしまう。そんな一冊だった。
教訓:やっぱり猫が好きだ~
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