2011年9月18日日曜日

父の詫び状を読んで



父の詫び状
(向田 邦子)

NHKで放送されていた「胡桃の部屋」という

ドラマを見て静かな衝撃を受けた。

ありふれた日常から一歩踏み外すだけで

なんてドラマチックになってしまうんだろう!

そんなわけで脚本の向田邦子さんのエッセイを

読んでみました。



まず折り目正しく、きっちりとした美しい日本語が印象的だった。

戦前、戦中、戦後の市井の人々の暮らしぶりが

経験していない私にとってもひどく懐かしく

ノスタルジックな気持ちになる。



しかし幼少期のエピソードは、生き生きとしているのに

なぜか影のようなものも感じる。

あとがきを読んでみると作者がこれらの文章を

生と死を見つめつつ書いたことがわかって驚いた。

どこか影のある理由もそれでわかった。



自分のことを書くのは実は簡単なことではない。

作者はそんな風に「死」と対峙したからこそこんなに淡々と

でも生き生きとした当時の情景を描けたのかもしれない



教訓:父からの詫び状はとてもさりげないのでした。

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