もう、家に帰ろう2(藤代 冥砂)
カメラマンの作者が、
モデルである妻の毎日を撮影した写真集の続編。
前作を読んだ時に「まるでおとぎ話のようだ」と
感じたことを思い出した。
前回は2人だけの世界だった夫妻に、
今回は赤ちゃんが生まれる。
赤ん坊という、とてもリアルな、生々しい存在が入ってくることによって
2人だけのおとぎ話の世界を壊す。
赤ちゃんというのはそれぐらいすごいパワーがある。
しかし、赤ちゃんはやがて少年へと成長していって
いつのまにかおとぎ話の登場人物の1人として落ち着くのだ。
作者は、自身の幸福な生活に対して
賛美、感謝、そしておそらく「畏れ」を持って、
一瞬一瞬の家族の表情を切り取っている。
だから何気ない一枚にもちゃんと物語を感じられる。
この家族の物語の続きを、私はまた見たいと思った。
教訓:本当は「家」ではなく「人」に帰っていく。