作者は男性名だけど、実は女性なのではないか?と思った。
それくらい優しく細やかな心の機微を描いた作品だからだ。
(でも優しい物語=女性という考えは、ある意味偏見かもしれません)
しかもこの作品は推理小説なのである。
物語の語り手は坂木司(作者と同姓同名!同一人物?)という男性。
彼には「自称ひきこもり」の鳥井真一という友人がいる。
2人の身近で起こる小さな謎を、鳥井は鋭い推理で解き明かしてく・・・
そして2人は様々な人々と出会うことによって成長していく。
描かれているテーマがとても興味深い。
特に印象に残ったのは、
①恐らく男性は気づいていないだろうけど、現代にも残っている女性への差別。
②「呼び方」ひとつでその人の個性を奪ってしまうことに関して。
それらは確かに私達が日常感じている問題の中のひとつで
でもなかなか表立ってとりあげられることは少ない。
とりあげられても、どこかヒステリックに問題提起されてしまい、少し怖くなる。
作者はそれをとても丁寧に、でもストレートに描いている。
だからあまり気負わずに読める。
この小説はどこまでも優しい。読んでいる側も、どんどん優しい気持ちになれる。
もちろん鮮やかな推理も楽しめる。
推理小説が苦手な人にもお勧めしたい、とても読みやすい一冊だ。
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