2013年6月6日木曜日

針がとぶ



針がとぶ(吉田 篤弘)

小説とは「言葉の集合体」であるはずなのに

この小説を上手く表す言葉が見つけられない。



亡くなった伯母の遺品を整理する女性

本の中に出てくる女性に魅入られたホテルのクローク係

車が一台も無い遊園地の駐車場での話など全7編

懐かしくて、でも斬新で、使われている言葉がどれも美しい。

途方も無い異世界の話のようであるのに、

すぐ隣で起こっている物語のようでもある。



一話ずつの文章はどれも断片的で短い。

すべてバラバラの物語のようで、

不思議とみんな繋がっている。

「なぜこの部分を切り取って物語にしたのか?」

最初はそう思うのだが、読んでいるうちにそんなことは忘れる。



この小説は掴みどころが無い。

でも読んでいるといつの間にか、見たことも想像したこともない

真っ白で、遥か遠い世界へと連れて行かれている。

その世界の美しさにくらくらしながら読み終える。



教訓:言葉の力でトリップしたい人は、是非読んでみて欲しい


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