2014年3月23日日曜日

注文の多い注文書

最近読んだ本の感想を書きます。

注文の多い注文書 (小川 洋子/クラフト・エヴィング商會)



名作小説に関わる架空の『品物』を求める客が

それまでの経緯を語る「注文書」

クラフト・エヴィング社がその品を探し出し

納めるまでの「納品書」

そして客がその品を受け取った後の

「受領書」からなる物語。



実際のクラフト・エヴィング商會が

どんな会社なのか?説明するのはややこしい。

この本の中では、看板に「ないもの、あります」と描かれている

不思議な一軒のお店、ということになっている。



全体の文章は、まるでガラスケースの中の標本のように

どこかひんやりとしている。

現実離れしたストーリーだが話の展開が非常に巧みで

読みやすい。次々にページをめくってしまう。



物語の要になる不思議な『品物』は

もちろん実在しない。けど本を読んでいると

その一文字一文字から、美しい写真から

その『品物』の香りや手触りまで伝わってくる気さえする。



綺麗な文章、写真、装丁・・・

完璧に美しいフィクションの世界を堪能できる。



教訓:元になっている五つの名作達も読んでみたくなる!



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