台所のラジオを通じて、様々な人々が美しい文章で
空想の世界を駆けぬける連作短編集。
まったくバラバラな登場人物達は
ひょっとしたらどこかに接点があるのかも?
と思えてそれがドキドキもする。
「1.5歩先の異世界」
筆者の作品はいつもありえないほどのリアルと
途方もないファンタジーを同時に抱えている。
一見矛盾しているようでこの作品の中では共存している。
「抜き打ち捜査官」「女優洗浄機」「真夜中のビフテキ屋」
(夜のステーキ屋は筆者の他作品にも登場していた気がする)
物語に出てくるのはどれもが荒唐無稽で非現実的なのに、
なぜなのか現実にありそうな気もする。
なぜならこの小説の世界は、自分から遠く離れた「異世界」ではなく
自分の普段の世界から、1.5歩くらい離れた「日常」に思えるからだ。
読んでいる内に心地よい浮遊感にくらくらしながら
いつの間にか読み終わってしまった。
教訓:早く次の異世界に行きたい。新作も期待します。
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