吉祥寺の朝日奈くん
(中田 永一)
ちょっと変わった恋の話、
5本が収められている短編集。
この本の登場人物に共通しているのは、
みなどこか少し変わっているところ。
会社や学校などのコミュニティでも決して中心人物ではない、
端っこや隅にいる脇役タイプだ。
でもそれがいい。
そういうちょっとひねくれてて、
ユニークな人たちに脚光があたっているのがいい。
そういう人たちは、恋の仕方も少し変わっている。
みんな不器用でなかなかうまくいかないけど、
それが愛おしくて、応援したくなる。
特に心に残った3本を紹介したい。
「交換日記はじめました」
タイトル通り、交換日記のノート上でのみストーリーが展開していく。
そんな制約の中でも、話が思わぬ方向へ転がっていく面白さは素晴らしい。
「三角形はこわさないでおく」
この本の中ではわりと正統派な青春小説。
でも基本的な文章がどこかユーモラスなので、照れずに読める。
切なくて美しい物語。
「吉祥寺の朝日奈くん」
表題作。この作品の映画を見て、この本を読みたくなった。
甘すぎず淡々として、さらりとしているのに
なぜか心に残る恋物語。最後の終わり方が好き。
もちろん他の2本も面白い!
いわゆる王道のラブストーリーじゃないけど、
人それぞれ、いろんな恋や想いの形があっていいんだと
言ってもらえているようで、嬉しくなる。
教訓:思わず成分献血にいきたくなる本!
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