2014年4月20日日曜日

百瀬、こっちを向いて



本の感想を書きます。

百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)

(中田 永一)



私は、学校や会社などのコミュニティで

中心人物=「真ん中に立つ人」に絶対になれない。

昔はそう思い込んでいた。

社会全体が壮大なドラマだとしたら

私は間違いなく脇役だと。

そんな考えだから昔は一般的な恋愛小説は胡散臭く感じて

あまり読む気にはなれなかった。



大人になって、この世界では「真ん中に立っていない人」の方が

圧倒的に多いのだと気付いた。

むしろそういう脇にいる人が、この社会の主人公なのだと。



中田永一さんの作品の主人公も、

社会の隅っこで大人しく生きている人たちばかりだ。

自分は脇役でいいのだと、目立たないように過ごしている。

この小説はそんな人たちの、少し変わっていて

でもとびきり素敵な恋の話を集めた短編集だ。

ちっともかっこつけてなくて、少々奇妙だけど

読んでいて面白いし、応援したくなる。



教訓:普通(?)の恋愛小説が苦手な人にもおすすめしたい一冊。




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