2012年11月19日月曜日

青空の卵

青空の卵(坂木 司)


作者は男性名だけど、実は女性なのではないか?と思った。

それくらい優しく細やかな心の機微を描いた作品だからだ。

(でも優しい物語=女性という考えは、ある意味偏見かもしれません)

しかもこの作品は推理小説なのである。



物語の語り手は坂木司(作者と同姓同名!同一人物?)という男性。

彼には「自称ひきこもり」の鳥井真一という友人がいる。

2人の身近で起こる小さな謎を、鳥井は鋭い推理で解き明かしてく・・・

そして2人は様々な人々と出会うことによって成長していく。



描かれているテーマがとても興味深い。

特に印象に残ったのは、

①恐らく男性は気づいていないだろうけど、現代にも残っている女性への差別。

②「呼び方」ひとつでその人の個性を奪ってしまうことに関して。



それらは確かに私達が日常感じている問題の中のひとつで

でもなかなか表立ってとりあげられることは少ない。

とりあげられても、どこかヒステリックに問題提起されてしまい、少し怖くなる。

作者はそれをとても丁寧に、でもストレートに描いている。

だからあまり気負わずに読める。



この小説はどこまでも優しい。読んでいる側も、どんどん優しい気持ちになれる。

もちろん鮮やかな推理も楽しめる。

推理小説が苦手な人にもお勧めしたい、とても読みやすい一冊だ。




0 件のコメント:

コメントを投稿